雄大な自然に抱かれた歴史ある城下町、小諸。かつての小諸城のもとで城下町、宿場町として発展してきました。最近では移住者も多く、駅前の商店街を中心に新たな店舗も増え、古くからの歴史と文化に、新たな魅力が交ざり合う街になりました。
そんな小諸は千曲川や浅間山という自然の恵みに囲まれたまちでもあり、いま、個性溢れるワイナリーが増え、それぞれが魅力的なワインをリリースする「上質なワイン産地」として注目されています。今回の一泊二日の旅では、千曲川の右岸・左岸に散らばり、それぞれ異なるテロワールでぶどう栽培・ワイン造りをしているワイナリーを訪れ、そのワインを楽しみます。そして、歴史の面影が残る旧北國街道・小諸宿でも、“味わい深い時間”を堪能します。ワインとテロワール、そして豊かな歴史に出会う小諸の旅をご紹介します。
初日
1.安心!地元の小桜レンタカーで、旅の始まり
9:50発

駅前ロータリーから始まる、小諸ワイン旅
改札を越えて小諸駅を出ると、すぐに見える「小桜レンタカー」の車。地元で50年にわたり自動車整備を手がけてきたボディーオート桜井から生まれた地元密着のレンタカーサービスで、旅の出発をしっかりサポートしてくれます。様々な種類の車が用意されており、3日前まではWeb予約を、2日前から電話で予約ができます。
今回の旅では、小諸の様々なワイナリーを巡るために、あえて車で移動します。ハンドルキーパーでも楽しめるコンテンツがあるのが、小諸旅の魅力です。荷物を載せ、エンジンをかければ、ワインとテロワールの風景が待つ旅が始まります。
(小桜レンタカー)
長野県小諸市菱平309-2
080-1164-5495
車
10分
2.マンズワイン小諸ワイナリー
10:00着 11:20発



~KOMORO WINEの歴史を知る——マンズワイン小諸ワイナリー~
小諸駅から車で5分ほど、浅間南麓の斜面に「マンズワイン小諸ワイナリー」はあります。この小諸ワイナリーが1973年に開設され、小諸市でのワインづくりの歴史がはじまりました。到着して最初に見えてくるのは、美しく整然と並ぶシャルドネの古樹。小諸眺望百景にも選ばれた「けやき並木」をのぼると、ワイナリーとショップが見えてきます。
ショップ2階からは、浅間山を背にして、千曲川を挟んだその先まで一望できます。四季折々で、表情を変える日本庭園「万酔園(ばんすいえん)」があり、その一角には地下ワインセラーの入口が。通常は非公開ですが、今回は特別にご案内いただきました。
ひんやりとした空気のなかには、50年の歴史をもつ小諸ワイナリーでつくられたワインが無数に並んでおり、さながら“ワインと歴史が眠る場所”といったところ。ワイナリー誕生の背景や歴史を丁寧に教えていただけるのも魅力です。ツアー後には、自社畑で収穫されたブドウから造られたワインを中心に、世界的コンペティションでも評価される「ソラリス」シリーズのテイスティングも楽しめます。もちろんぶどうジュースも用意されています。最高のワインだけでなく、小諸のテロワールも味わえる、旅の序盤にぴったりのスポットです。
(マンズワイン小諸ワイナリー)
長野県小諸市諸375
0267-22-6341
小諸ワイナリーツアー(要予約)
【開催日時】
毎週/金・土・日曜日および祝日 13:30~14:30
【参加費】※2026年4月よりツアー内容がリニューアル
・ワイン付きコース 2,500円 / 2,800円 (税込) ※コースにより参加費が異なります
・ジュース付きコース 1,200円(税込)
車
10分
3.みはらし最高のワイナリー スタラス小諸
11:30着 13:50発



~ワイナリー見学&絶景ランチで満たされる~
飯綱山公園の高台に建つ「スタラス小諸」。2023年に小諸高原美術館・白鳥映雪館の隣にできた、レストランとワイナリー・ショップの複合施設です。まずは「ワイン造りを学ぶ」見学ツアーへ。トゥクトゥクに揺られながらぶどう畑を巡り、「Komorokko Farm & Winery」の造り手の想いや栽培の工夫・裏話を聞くこともできます。ワイナリー見学では、タンク室や樽庫、最新の発酵機器が並び、ワインが生まれる過程を五感で感じられます。見学のあとには、ワイナリー併設のショップでテイスティングも。
ランチタイムは、レストラン「グロワーズキッチン」で過ごすことにしました。飯綱山公園には広いドッグランがあるため、ペット同伴・テイクアウト可能なレストランとしても、人気です。テラス席から眼下に広がる佐久地域の風景を眺めながら、パンケーキとイタリアンをいただきます。食事と絶景を堪能したら、続いてのスポットへ向けて再び出発です。
(スタラス小諸)
小諸市大字諸字東房151-1
0267-31-5622
車
30分
4.ジオヒルズワイナリーと御牧ケ原台地
14:00着



~風吹く丘でテロワールを満喫——ジオヒルズワイナリー~
小諸市・御牧ヶ原の台地に佇むジオヒルズワイナリー。「Gio」はベトナム語で「風」の意味をもち、「GioHills」とは「風の吹く丘」の意。その名前には「御牧ケ原の台地で育ったぶどうがワインとなり、風にのって多くの人に届くように」との思いが込められています。2002年にシャルドネの定植からスタートし、2008年にメルロー、2009年にピノ・ノワールを増植。標高700〜800 mという準高冷の気候がうむ昼夜の寒暖差が、しっかりとぶどうの酸を引き出し、粘土質な土壌がゆっくりと根を張る力強い樹を育てます。
前日までに予約すれば、ワイナリー見学も可能です。1階が醸造所、2階はカフェとなっており、ガラス張りで360°のパノラマビューを楽しめます。
旅の途中、風に吹かれながらぶどう畑を抜け、グラスを傾ける。ジオヒルズワイナリーで味わうひとときは、土地の声をそのまま感じる体験になりそうです。
(ジオヒルズワイナリー)
小諸市大字山浦富士見平5656
0267-48-6422
5.songにチェックイン

~ぶどう畑の広がる台地で、夜を迎える「song」~
午後のワイナリー巡りを終え、今回の宿「song」へチェックイン。小諸・御牧ケ原台地の広がりの中に佇むこの宿は、先ほど訪れたジオヒルズワイナリーの敷地内にあります。ぶどう畑を望むガラス越しの景色が最初のごちそう。「ワイン醸造家の家」をコンセプトにした建物で、一日一組限定(定員四名)という贅沢な滞在が叶います。
高原のワイン旅の1日目を締めくくるのは、日常から少し離れて「風と土と味」を感じられるリラックスした時間。
また、フォレイジング(採集体験)ができるのも魅力のひとつ。御牧ケ原で草木や野生のハーブを自ら採集して、料理人とともにその場で味わう。ぶどう畑やりんご畑を抜け、風に揺れる草の香りを胸に、台地ならではの自然と対話するひととき。採れたての恵みを薪火料理へと昇華することで、“この土地の味”が五感を通じて深く刻まれます。
小諸市山浦富士見平5656
6.ディナー@song



~薪火が生み出す、一夜限りのディナー体験~
夕暮れとともに始まる「song」のディナーは、薪火の香りがふわりと広がる特別な時間。御牧ヶ原で採れた野草やハーブ、旬の食材を中心に、その日に手に入った恵みを料理人がコースに仕上げてくれます。炎の揺らぎとともに素材の香りが立ち上がり、ワインとの相性も抜群。大地の力強さと静けさをそのまま味わうような、ここでしか出会えない食体験です。
7.フリー@song

~一組だけの夜がゆっくりと更けていく~
食後は、あたたかな薪火の余韻をまとったまま、思い思いの時間を過ごせます。一日一組限定の「song」では、誰にも邪魔されず、御牧ケ原台地の静けさに身をゆだねられるのが何よりの贅沢。テラスで風の音を聞きながらワインを少しだけ楽しんだり、焚き火のそばで本を開いたり、ただ外の暗さと星の瞬きを眺めたり——ここでは時間がゆっくりと流れていきます。
部屋に戻れば、木の香りに包まれた落ち着いた空間が待ち、旅の疲れをそっとほどいてくれます。人工的な光が少ない環境で、今日の旅を振り返りながら静かに過ごすひと時。横になり目を閉じると、大地に溶け込むような気持ち。
明日もまた、小諸の豊かな風景と食と人に出会う、楽しみな旅は続きます。
2日目
8.朝食とチェックアウト@song
09:45発

~朝の光と薪火の香りに誘われて~
柔らかな朝日で目覚めると、窓の外に見えるのはぶどう畑と水田の広がる田園風景。そして、温かな朝食が用意されています。地域の食文化をしっかり感じられる朝食は、薪火の和食。昨晩のディナーの余韻を抱きながら、今日の活力となる食事を楽しみます。
後ろ髪をひかれながらも、丘の上のオーベルジュを後に。今日は、昼過ぎの電車の時間まで市街地を散策します。小諸駅前まで車を走らせ、レンタカーの返却。昨日一日、小諸市内を一緒に走ってくれた相棒に別れを告げ、街歩きのスタートです。
車
15分
おすすめ!
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9.北國街道街歩き(山吹味噌)
10:00着 11:00発

~旧北國街道を歩く——小諸の“味と文化”をめぐる時間~
レンタカーを返却したら、駅前から旧北國街道に向けて、相生町商店街を登っていきます。ここ数年で小諸の中心市街地は、飲食店や雑貨、カフェ、ホステルなどの新規出店が続いており、懐かしいレトロなまちなみにお洒落でこだわりのお店が融合して、大いに盛り上がっています。
今回は訪れるのは、江戸時代に創業した老舗味噌蔵と、名物ソムリエのいる酒屋さん。
相生町商店街を登り切って街道沿い少し歩くと見えてくるのが、2025年に350周年を迎えた老舗「山吹味噌」。伝統的な技法でしっかりと熟成された味噌ならではのコクと豊かな香りが、長年にわたり愛されつづけています。日常使いの定番商品から、味の変化が楽しめる半熟成の仕込み味噌まで様々なラインナップがあり、甘酒などと合わせて、大切なひとへのお土産にも最適です。
ショップの隣には、その山吹味噌が手掛ける自家製ハム・ソーセージ専門店「デリカテッセン ヤマブキ」、自慢の味噌を存分に味わえる「信州味噌らーめん 山吹」が並んでおり、まさに味噌尽くしのエリア。ワインだけでない小諸の「醸しの文化」が楽しめます。
(山吹味噌 酢久商店 小諸本店)
小諸市荒町1-7-12
0120-56-0009
徒歩
10分
北國街道街歩き(小諸なる小宮山酒店)
11:10着 11:40発

そのまま歩き進んで、次に訪れたのは創業70年を越える歴史ある酒屋「小諸なる小宮山酒店」。店主・岩下順子さんは、ソムリエや利酒師をはじめ複数の資格を持ち、サクラアワードの審査員も務める“お酒のプロフェッショナル”。店内にはNAGANO WINEから日本酒、クラフト酒まで幅広く揃い、訪れたひとがつい迷ってしまうほどの品揃えが魅力です。
岩下さんは、ワインと食事を楽しめるワイン会を300回以上開催しており、新たなワインとの出会いに悩んだら、優しくアドバイスしてくれます。今回巡ることのできなかったワイナリー・ヴィンヤードのワインも取り揃えているため、二日間の小諸ワイン旅のお土産を探すなら、このお店が最高の選択です。
(小諸なる小宮山酒店)
小諸市鶴巻1-4-14
0267-22-0726
徒歩
15分
10.小諸の「ひと」と交わる、新たなコミュニティスペース
11:55着 13:30発


~小諸の歴史とトレンドの新たなハブ——NOVELSでゆったりランチを~
小諸市相生町に2024年にオープンした「NOVELS(ノベルズ)」。かつて地域の書店だった場所をリノベーションし、ホステル・ブックカフェ・バーが一体となった複合施設です。旅人も地元の人も“物語をつむぐ場所”として集い、ひとの温もりに包まれながら過ごすことができます。宿泊だけでなく、カフェスペースでの読書や街歩きの合間のひと休みとしてもぴったり。造り手によるワインイベントも頻繁に開催されています。
今回は、カフェでランチをいただきます。モーニングから開店しているカフェランチでは、地元食材を活かしたスープやオープンサンドなどが楽しめます。午後には軽くカフェ使い、夕方からはバーに切り替わり、時計の針が進むごとに少しずつ大人の時間へ。コーヒー片手に本棚を眺めながら、あるいはグラスを傾けながら、静かに過ごすこともできます。NOVELSに行けば、きっと誰かに会える。「小諸を深く知る」一軒としておすすめです。
(NOVELS)
小諸市相生町2-1-3
0267-46-9867
徒歩
5分
11.電車の時間まで、「えきなかバー」で
13:40着


~E’cuveこもろ——旅の最後を彩る締めの一杯~
旅の終わりに小諸駅へ戻ったら、ホームへ向かう前に立ち寄りたいのが駅構内のワインバー「E’cuveこもろ」。
ガラス張りの空間では、地元ワイナリーのワインをグラスで楽しめるカウンター席があり、旅の余韻を静かに深めてくれます。NAGANO WINE生産者の魅力を紹介している「地元ワイン飲み比べ」は、赤と白で選ぶことができます。気になる一本を味わい比べするのもよし、スタッフに好みを伝えて“今日の一杯”を選んでもらうのもよし。おつまみも地元食材でつくられたものがメイン。駅のホーム側からも入ることができ、出発時刻ぎりぎりまで、小諸の魅力を堪能できる特別なひとときが過ごせます。
(E’cuveこもろ)
小諸市相生町1-1-1
070-9190-0384
二日間で巡ったワイナリー、体験したテロワール、歴史ある商店街——小諸は、自然と歴史にワイン文化が交ざり合うまちでした。浅間山を遠くに、千曲川を近くに感じながら歩いた道のりは、ワインだけでなく、食や風景、文化までも、そしてひとの温かさまで味わわせてくれました。グラスの余韻とともに、またこの街に戻りたくなる。そんな想いを胸に、小諸を後にします。