長野県東御市。浅間連峰を望む丘にブドウ畑が広がり、まるで澄んだ空気の中でワインの香りがゆるやかに漂うよう。「長い日照時間」「降水量が少ない」「風通しが良い」「昼夜の寒暖差が大きい」など、条件が揃ったこの土地は、良質なブドウを育む理想の環境として知られています。千曲川ワインバレーの中でもひときわ個性を放つ東御市には、ワイナリーだけでなく、田園風景や食、温泉、宿が心地よく調和する風景があります。訪れるたびに、新しい発見とぬくもりに出会えるまち東御市。今回は次のようなモデルルートを辿ってきました。
1.しなの鉄道
田中駅
9:55発
車
5分
旅の始まりは、しなの鉄道、田中駅。まずは古き良き建物が軒を連ね、重要伝統的建造物群保存地区にも指定されているという、海野宿へ。
駅前で自転車をレンタルしての移動も楽しい。(15分)
2.海野宿
10:00着 11:45発



~歴史の風情を歩く海野宿――東御の“今と昔”が出会うまち並み~
かつて中山道と北国街道が交わる要衝として栄えた宿場町。白壁と格子戸が並ぶ通りを歩けば、時がゆっくりと流れていくのを感じます。養蚕が盛んであった頃の名残が色濃く残る住居が並び、軒先に飾る古い道具は往時の暮らしを想像させてくれます。カフェやギャラリーを営む古民家は、ふらりと立ち寄る旅人をやさしく迎えてくれる。観光地というより、まちの人々の息づかいが残る場所――そんな穏やかな空気が、東御市の「今」と「昔」をつないでいました。
長野県東御市本海野1052周辺
0268-62-7701(東御市観光情報ステーション)
車
5分
3.東御ワインチャペル
12:00着 13:30発
ランチは東御ワインチャペルで
~ワインと地元食材を味わう「東御ワインチャペル」――駅近で叶う贅沢ランチ~
少し歩いてお腹もすいてきた頃…ワインも楽しめるという、東御ワインチャペルへ向かいます。

田中駅を北上して国道18号のすぐ角の立地にあるのが、東御ワインチャペル。その名の通り、もともとは結婚式場として使っていた教会の建物をリノベーションしたレストランです。
「ワインのお店が開きたかったので、駅から近い立地で探しました。また、ここの駐車場では年に1度ワインフェスタをやっています。その関係もあり、2016年にここでオープンしました」
そう話すのはオーナーの石原浩子さん。小諸市のご出身でソムリエの資格を持つ石原さんは「地元長野県がワインで盛り上がるのは夢のよう」と顔をほころばせます。東御ワインチャペルは、そんな夢のような場所と言えるのかもしれません。
「東御市周辺には多くのワイナリーや農園があります。そこで作られるワインを一か所で飲んだり買ったりする場所がないことがもったいないと思いました。この辺りは関東圏からのアクセスも悪くありません。東御市周辺エリアのワインを知ってもらう玄関口になるにはいい場所です。だからこそ『ここに行けばこの周辺のワインについて、いろいろな情報を得られる』場所を作りたかったんです」
熱い思いで開店した東御ワインチャペル。料理の腕を振るうのは、石原さんの旦那様。「料理とワイン、両方を楽しんでほしい」と、おすすめされたメニューのはローカルワインセット~前菜と地元のワインのペアリングを!~。
魚介系とお肉系のどちらかをチョイスし、石原さんが自ら選ぶ地元ワインが1杯つくセットです。

この他にも多くのワインの試飲ができ、様々なワイナリーの味を知ることができるのが魅力。希望があれば、生産者さんを紹介することもできるそうです。
「ワインに詳しい方も、ワイン初心者という方もお気軽にいらしてください。テイスティングや販売だけでも大丈夫です」
ワイン初心者の私も、とっても充実した時間をすごせたお店でした。



長野県東御市田中63-4「ラ・ヴェリテ」敷地内
0268-55-7511
■ランチ
平日
11:00〜14:00〈L.O.13:30〉
土日祭日
11:00〜15:00〈L.O.14:00〉
■ディナー
17:30〜〈予約制〉
*当日の17:00までに予約がない場合はレストランは閉店。
■ワインショップ
11:00〜19:00
■定休日
月曜日、火曜日
※祝日と重なる場合は営業
車
15分
4.ヴィラデストワイナリー、アルカンヴィーニュ
13:45着 15:00発
~とうみワインの原点へ――ヴィラデスト&アルカンヴィーニュで学ぶワイン造り~
東御市のワインの味と魅力に触れたら、ワイン造りの現場に行きたい!

そこで伺ったのは、とうみワイン始まりの場所でもあるヴィラデストワイナリーです。広い敷地の中には、ワイナリー、ブドウ畑、ショップ、レストラン、ハーブガーデンと「五感を満たす」すべてがそろう場所。



エッセイストで画家の玉村豊男さんが、農業がしたいとの思いで東御市に移住したことがきっかけだそうです。
「いろいろな作物を育てる中でワインブドウを植えたところ、ワインに向くいいブドウが生産できました。そこから本格的に開始して2003年にヴィラデストワイナリーができたんです」
教えてくださったのは、ヴィラデストワイナリーの代表で栽培醸造責任者でもある小西 超さんです。
東御市の中でもヴィラデストワイナリーがあるこの辺りは、標高850メートルの丘で南側が斜面となっている場所。晴天率も高く寒暖差が大きいというブドウ栽培に適した環境となっています。
玉村さんが移住した最初の頃に植えたハーブも残っているというガーデンをの先には、ブドウ畑が広がっています。この辺りではワインブドウは垣根栽培という方法が主流で、ツルの下部にブドウが実ります。東御市の名産品「巨峰」などの生食ブドウの畑で見られる棚栽培とは対照的です。
「ワインブドウの葉も紅葉します。白ワインのブドウは黄色に、赤ワインのブドウは赤く染まるんですよ」と小西さん。
紅葉の季節には、遠くから「あのブドウは白ワインになる」と知ることができますね!
ショップではワイナリーで作られたワインはもちろん、玉村さんの描いたデザインの食器やポストカードも買うことができます。


レストランは、ブドウ畑が一望できる場所。季節ごとの景色とお料理だけではなく、何よりも目の前で作られたワインが堪能できるなんて、とっても贅沢な気持ちになれますね。
また、ヴィラデストワイナリーから車で数分登っていくと、そこにはアルカンヴィーニュがあります。

ここで作られたワインの購入やテイスティングはもちろん、なんといってもここの特徴は、千曲川ワインアカデミー。ブドウの栽培やワイン醸造、経営などを学ぶことができる、日本で唯一の民間講座が受けられる場所です。
講師陣にはメルシャンやマンズワイン、サントリーの工場長、香りの分野では東京大学で学部長をされている東原和成先生など、そうそうたる顔ぶれ。ワインを学びに県内外の老舗ワイナリーのご子息などが学びに来るほど実績のあるアカデミーです。

ここではワイナリーの見学コースが設けられています。試飲できるワインの種類や、スタッフによる説明の有無などが選択できます。希望によってコースが選べるのも、幅が広がっていいですね。
試飲ができる場所がたくさんあるのも魅力です。
販売エリアのカウンター、玉村さんの絵が飾られたギャラリー、テラス席。その時の気分や天気で変えるのも素敵です。



■ヴィラデストワイナリー
東御市和6027
0268-63-7373
0268-63-7704(カフェ予約専用)
営業時間 10:00~17:00
定休日 水曜日(カフェのみ)
※ショップは水曜日も営業(10:00~16:00)
※12月下旬~3月上旬頃は冬季休業
■アルカンヴィーニュ
東御市和6667
0268-71-7082
営業時間 10:00~17:00(1月、2月は16:00まで)
定休日 木曜日(1月、2月は木土日祝)
車
5分
5.千曲川シェアヴィンヤード
15:10着 16:10発
~ブドウ畑をシェアする新しい形――シェアヴィンヤードで出会う人とワイン~

アルカンヴィーニュから車で数分。そこには「シェアヴィンヤード」というちょっと聞きなれない活動をしている場所があると聞き、伺ってみることに。
「その名の通りではありますが、ブドウ畑をシェアしてワインを作るという場所です。一般の消費者が『大人の部活動』というイメージで始めた活動です」と話してくれたのは発起人の辻新一郎さん、佳苗さんご夫妻です。ここでは、首都圏を中心に、誰かが必ずヴィンヤードに毎週末訪れ、畑仕事やワイン造りに取り組んでいます。
また、辻さん夫妻は「移住お試し古民家シェアハウス#248tazawa」も運営しています。観光をきっかけに東御に通い、やがて地域と関わる「関係人口」となり、最終的に移住・定住へ――そんな流れを支えたいという思いが、シェアハウスに繋がりました。
さらには古民家への思いも。
「古民家って日本では使えないものと思われることが多いですが、そんなことないんです。私たちがシェアヴィンヤードの『部室』と言って使っている建物は築150年。最小限の改修でしっかり使えています。ヴィンヤードの傍らで時を刻み続けた大切な建物を残したいという気持ちもあります」
シェアハウス内でも、入居者同士がリビングでワインを語り合うそう。ここでは新しい人のつながりが自然に生まれている、素敵な場所を見学できました。

東御市和5359-1
070-6658-5490
※事前に問い合わせ推奨
※道が狭いため、大型の車は困難
車
10分
6.湯楽里館・ワイン&ビアミュージアム
16:20着 20:00発



~温泉とワインの街・東御を満喫――湯楽里館とワイン&ビアミュージアム~
全身で東御市のワインを堪能した後は、温泉に浸かってゆったりした時間をすごすのも素敵です。そんなことができるのも東御市の魅力のひとつ。温泉施設の湯楽里館へ向かいます。
そして温泉だけではありません。ここでもワインに触れられるというワイン尽くし。2階にあるワイン&ビアミュージアムでは、東御市内に15もあるワイナリーの紹介や歴史を学べます。
また、湯楽里館の隣には、東御市の地ビール「オラホビール」の工場もあります。工場内の見学はできませんが、外観がガラス張りになっていて醸造風景を見ることができます。
もちろんワインもビールも飲むことができます!お風呂上りに今日一日と東御のワインの歴史を振り返るのも、楽しみのひとつです。
長野県東御市和3875
0268-63-4126
営業時間 10:00~22:00(最終受付21:15)
※冬季は10:30~21:00(最終受付20:30)
休館日 水曜日
≪2Fワイン&ビアミュージアム・1F館内物産ショップ≫
営業時間 10:00~18:00
※冬季は10:30~18:00
車
10分
5.わ蔵
20:20着
~蔵をリノベした一棟貸し宿「わ蔵」――東御に暮らすように泊まる~
シェアヴィンヤードの辻さんが運営する一棟貸しの宿泊施設、わ蔵で今日の旅は終わります。

ここはその名の通り、使われなくなった蔵をリノベーションして作られた宿。最大で8名まで宿泊ができるので、ご家族や親せき、大切な仲間と心置きなく過ごすにはもってこいの場所です。
使われている家具も、地域で集めた使われなくなった家具たち。古いミシンなどの日用品も並べられていて、時代を超えて生まれ変わったものに囲まれて、一日の疲れを癒します。
「通常の旅行の方から、長期滞在の外国人まで幅広くご利用いただいています」と辻さん。
東御市を巡って「しばらくこの地で過ごしてみたい」と思ったら、わ蔵を拠点に長期滞在してみてはいかがでしょうか。次に訪れるときには、また違う東御市が待っているかもしれません。



東御市和5359-1
070-6658-5490
※事前に問い合わせ推奨
※道が狭いため、大型の車は困難